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PHP研究所から 【トップが綴る「私の人生を支えた信条」】発刊!2,200円税込 

人は多くの経験の中で、自らを磨き、自身の中に判断基準を形成していくもの。そうした経験を通じて形作られた価値観は、人生を支え、迷わないための道しるべとなります。

「あの人」「あの出来事」「あの時かけられた言葉」のおかげで今の自分がある。

「仕事を進める上で大事にしていること」「どのように心を配りながら活動してきたか」「人生の本当の価値とは何か」仕事や人生の羅針盤になる本です。

何のために生まれ、何を為す為に生きてきたか?人はその答えを探し続けながら、自らの信じる何かを手に入れていく。122名のトップが綴っています。

弊社代表が、小さな会社の2世としての生きざまを投稿しました。ご笑読いただき、もがきながらも信念をもってはたらくことの大切さが伝わると嬉しいです。

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【傷があるから優しく強くなれる】

ノノヤマ洋服株式会社 代表取締役社長 野々山雅博

 3歳の頃、心臓の手術をしました。両親は創業した学生服屋が多忙で見舞いに来られず、病室に一人でいたことを覚えています。学校ではマラソンを控え、胃腸が弱く痩せた体や手術痕を見られたらという劣等感を抱え、心臓が止まるかもと悪いほうに考えが巡るばかり。父の仕事もあり、目立ってはいけないといつも自分にブレーキをかけていました。

 学生服の販売は、入試・入学準備の3月に集中します。学生時代、3月は朝6時から翌3時まで手伝いをした日があります。この仕事でご飯を食べさせてもらっている。自分がやらなくてはと思いました。

 変形学生服が流行した30.40年前、愛知県で唯一、変形学生服を取り扱わなかった父親を尊敬しています。私自身も数年前、短いスカートを買い求める親子に何時間もかけて正しく着ることを勧めました。服装は心の成長を映す。生活のオンオフ、社会のマナーを身につけるものだから。「こんな店には二度と来ない!」と捨て台詞を言われたこともありました。ただ、この営業姿勢が信頼につながり、今では愛知県下150校の学校様の制服・体操服を販売しています。リーマンショック時、仕入先の鞄屋が突然倒産。商品を差し押さえられました。入学式直前の納入2週間前、7つの学校の新入学生分です。もう損得ではない。信用が第一。寝ずに駆けずり回り、全員分を納入できました。

 特別支援の制服も扱っています。長女は生後すぐ吐血し、小児専門病院に緊急入院。病棟には障がいのある子がたくさんいました。特別支援学校の制服は、少量でサイズ合わせなどに手間がかかり、同業者は手控えていました。それでも、制服は「みんな仲間だ」との思いを育んでくれるもの。うちの子も障がいを抱えていたかもしれない。周りから「やめておけ」と言われるなか、自分がお役に立てるならとの思いで取り扱うことを決めました。その思いは口コミで広がり、現在は県下12校に納入しています。

 少子化のなかで家業を継ぐならば、変化し続けなければ売上減少につながります。私が社長になり、変わり続けることで県下生徒数半減という状況でも売上は倍増しました。「置かれた場所で咲きなさい」。今ではこれが天職と思い込んでいます。制服は3年間、肌に触れ、汗も涙も黙って吸ってくれるもの。成長を分かち合う一番近い友達であり、命の服です。私に傷があったからこそ、そう思えるようになったのかもしれません。

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